床編に続き、壁、天井編になります。
まずは、壁、天井を普通の住宅と同じく、在来工法で作ります。
その部屋の中に遮音、吸音するための壁、天井を再度作るイメージになります。
当スタジオの遮音、吸音用の壁、天井は、厚さが約30cmにもなるため、普通の住宅の天井高さからでは低くなってしまうので、床を低くし、さらに天井高さも高く設計してます。
壁厚も四方が当初よりも30cm狭くなるので、これを見越した部屋の広さが必要になります。
これが天井の構造で、壁も基本的には同じ構造ですが、遮音層、吸音層が交互に5層の積層構造となっています。
これが遮音材
こちらが吸音材になります。
5層構造ともなると、材料(一部ですが)だけでもこれだけの量になります。
こちらが最後に吸音パネルを設置した最終の状態です。
防音室内は密閉空間となるため、防音専用の換気システムも必要となります。
また冷暖房も室外機と繋がるため防音専用の配管となっております。
防音、遮音、吸音、拡散のバランスについてですが
音の全周波数帯において、完璧に防音、遮音を可能とすると、SONYのスタジオ建設時においては、コンクリート厚は最低1.5m必要となったようです。この完璧な防音、遮音は、逆に言えば音の逃げ道が無いので、全てが反射され室内にいつまでも反響している状態となります。
音もエネルギーなので、反射を繰り返すにつれ、壁、床、天井での摩擦等により熱などに変換され減退していくのですが、録音にとっての適切な反響を得るためには、吸音と拡散が必要となります。
吸音は、低域になるほど難しく、100Hz以下に対し効果的な吸音材はないと思います。また、吸音材を過剰に設置すると高域が吸音され過ぎて、音が篭ったスタジオにもなる可能性もあります。
この低域の定在波の影響を少なくするためには拡散が必要となります。
聞きかじった話ですが、音楽にとって理想的な環境は、雪が降っている竹林なんだそうです。
雪が深々と降ってると静けさもあり、竹林も適度な反響もありそうで、確かに理想的かなと思いますが
当スタジオでは、遮音、吸音、反射を考慮し、スタジオ外部への影響が無いように在来工法の壁、床、天井までは、ある程度音を意図的に漏れさせ、バランスを取り理想的な音質で録音できる環境となっております。
録音機器等も含め、理想的な録音環境となるように努力しております。